手違い/たもつ
 
列車の出入り口近く
一番混みあうところ
何かの手違いか
小さな花が咲いてる
どんなに混んでも
人は花を踏まないようにしている
もしこれが花ではなく
うんこだったとしても
誰も踏まなかっただろう
ゆっくりと死んでいくように
毎日を生きている、その
表層の薄い膜のようなところに
花もうんこもある
何かの手違いで
踏みつけられてしまうまで


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