てのひらから/mizu K
 


てのひらから青い地球がころりとこぼれ落ち
てしまったので園児たちはみなぽかんと口を
あけて空の穴を眺めていた。その一瞬の時空
のはざまに青い地球はこぼれ落ちてこどもた
ちを連れ去ってしまった。なぜハーメルンの
笛吹き男のようにせめて陽気に楽しく山のふ
もとへ連れ去ってくれなかったのか。私は呆
然として気温のあがりすぎた青空を見上げて
いる。真冬というにはあまりにも不釣り合い
な日ざし。太陽は年々凶暴になっていってる
気がする。60年前、この国には太陽が2つ
空に出現するときが2度あった。90年代の
終わりごろには世界はゆるやかな共同体に囲
まれ、たとえば日本海を囲
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