てのひらから/mizu K
ぶり
の再会にとても饒舌なのに、おそろしいほど
静かで、それはみんな口でなく手話で話して
いるからだって。そういう話を聞いてカルチ
ャー・ショックを受けたことを思い出してい
た。それは、そう、今までてのひらでころこ
ろと遊んでいた青い地球が何かの拍子にころ
んとてのひらからこぼれ落ちたときのあっけ
なさとおどろきとすこしの寂しさに似ている。
外は真昼で風が強くて落ち葉がくるくるまわ
っている。風が強いので髪の長い人の髪もく
るくるしている。髪の毛が飛んでいるのをな
んとかつかまえようと追いかけているおじさ
んがいる。スカートがマリリンみたいに飛ん
でくれないかと期待した
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