白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
拘置所へと、ふたたび護送されていったのだった。
「……うん、分かった。うん、そう言ったら引き返していったんだね。そうか、うん、わしは一時間半ほどしたら帰るから……」
裁判長の深見は電話を切ると、机の上に散らばった書類を大ざっぱに拾いあつめて机の引き出しに放り込んだ。そのとき、若い男がひとり部屋に入ってきた。深見は男に声をかけて、自分は先に帰宅する旨を告げると、業務上の確認をして、いくつか雑務を申しつけた。若い男は、やっておきます、と軽い調子で言った。
深見は帰る前に気にかかっていたことを、やはり訊いてみずにはおれなかった。
「それで霧島君、彼がしつこく繰り返し言っていたタルタルソ
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