白いタルタルソースの伝説(2/2)/hon
 
(1からの続き)

 ――我々が問題としなければならないのは、二十一世現代の日本における、まさにその場所、その瞬間に手にされた、ある特定のタルタルソースであります。
 それは、さる×月×日のことでした。
 なだらかな長い坂道と平坦な道とがT字に交わっている路上に、その二人は立っていました。
 鬱蒼とした木々に頭上を覆われて、一年中ずっと日当たりの悪い道でした。うす暗い木陰が染みついたような湿った石壁が坂道に沿って続いていて、その陰気な石壁を背景に二人は立っていました。
 それは少年と少女でした。
 あたりに人影はなく、二人は無表情でぼくの方を見ていました。
 ぼくは考え事をしながら
[次のページ]
戻る   Point(1)