創書日和「窓」  6月の花嫁/逢坂桜
 

いまがいつかわかっているのか

6月といえば、日本は全国的に雨季だ

雨というだけで憂鬱で、湿度は高く、足元は危ない

どうしてこんな時期に、しかも、わざわざ選んでまで

   ―幸せになるね

もう、充分だろう?

そんなふうに、あいつの隣で笑えるんだ

どうやったらそれ以上、幸せになれるって言うんだ?

   ―幸せになるから・・・幸せに、なってね

言われなくてもなってやる

でも、いまはまだ、おまえの幸せがつらいんだ

だから

通りすがりの顔をして、窓から覗いたことは、忘れてくれ

   ―生涯、変わらぬ愛を、誓います

その笑顔が曇らぬように、祈るから

「お幸せに」

梅雨の合間、綺麗な青空、どしゃぶりなのは、一人だけ

「幸せに、なってやる」

だから、さよなら

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