断想 十二/soft_machine
 
だろうか‥‥

 *

それでも飽きることなくカーテンが翻る
吊るされた緑が水を失う時と睦む遍在を綴りなさいと
街角の迷路に変容する為に痴れなくてはなりませんと
銀のポットと金の皿と石膏にされた少女の上で

北向きの一枚の画に最後の筆を加える
いなくなったはずの男
腹を縫われ鼻に綿を詰められ紅をひかれ
十字架の前に現れ‥‥ひとつ心臓を響かせ

片羽根のニケがおろおろと首を探す
それから病葉がくるくると落ちてくる
すると蛇口からひと雫こぼれるあなたとのこと‥‥


しいっ‥‥‥ほら、

雨が‥‥‥

なんて‥‥‥

甘美な幻‥‥‥


枯れた花を存分に抱いて
私はもう眠ってしまったが‥‥‥

‥‥‥雨はどこへゆく
豪奢な夕暮れを雨が降りゆく





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