雨男と雨女/吉田ぐんじょう
元からマンゴーの樹を生やしてくれた
夕暮れ時に
友人の家から一歩外に出ると
いつも外は
まぶしいくらいに晴天だったことを覚えている
それから少しして
友人一家は遠い街へ引っ越していった
挨拶には来なかった
たぶん
わたしの家に雨を降らせると申し訳ないと思ったのだろう
遠い街に引っ越した友人からは
今も時々手紙がくる
手紙はいつもしっとり湿って
うっすら雑草が生えている
ここいらは雨ばかり降ります
と
毎回のように書かれた文章を読むたび
わたしはなんとなく嬉しくなって
少し笑ってしまうのだ
友人一家が居なくなってから
この町にはめっきり雨が降らず
そのため砂漠になってしまった
わたしは少し迷ってから
友人への返事をしたためる
また遊びに来てね
そうしたら折り紙をやろうね
と
らくだの背中は揺れるので
いくら丁寧に書いたって
文字は歪むばっかりだけど
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