MERKAVA/10010
 
続ける。それがもはや花の霊であるとしても。霊とは生の反復であり、したがって死の反復である。名はものに重なると同時に遅延する。無限の重なりと無限の遅延で輪唱のユニゾンとアウフタクトは響く。名は歌なのだ。唱えよ、トリスアギオン、三倍聖なる、「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」。花の輪唱がわたしを取り囲む。唱えよ。


「花園は謎の花園」(ハナゾノハナゾノハナゾノ)。




われは智天使ケルビム、エデンの東を護りし。花の名のみ識る。いまは円形花園、「廻る炎の剣」となりて燃ゆる。熟れた林檎。落ちない月。言葉もて唆すウロボロス。不動の天上。土くれの匂い。われは智天使ケルビム。花の名の
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