女であるということ/yoshi
両親
愛情とは何なのか、彼らから学ぶ事は
結局無かった
妻の言う
男の愛情とはどんなにたいそうなものなんだろう
私は
男の愛情なんて、欲しいと思ったことが無かったから
あの男のためにこんなに必死になれる妻がうらやましかった
そんな事を考えていると
いつの間にかアラームが鳴り止み
コーヒーカップに添えられた妻の手の
薬指に光るリングが眩しく、そして
取り乱している彼女がかわいらしく思えてくる
私は涙を流す
ピンチのときはこれに限る
早くこのピンチが過ぎ去りますように
そんな思いを込めて涙を流すんだ
妻が帰った後
タバコに火をつける
煙を肺いっぱいに吸い込みながら考える
やはり
愛情を勝ち取る事よりも
死ぬまで女で居ることに価値がある、と
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