プロローグ/草野大悟
 
どうしても手放せないものがある。

直径二十センチの海だ。

四キロを泳いで持ち帰った
はたちの俺だ。

ごろり
机の上にころがる
うす水色の浮子(アバ)をまえに
いま、俺はなにを語ろう。

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