停留所家族/霜天
てくる
メリーゴーラウンドの付いた
大きなオルゴールを買ってくる
上がっては、下がる
追いかけても、捕まらない
私たちは掴まなかった
木馬の上で掴まなかった
前に伸ばせば届きそうな声も
緩やかに続く心音の影で
そっと折畳むだけだった
家族だった
そうだった
道は繋がらずただ円くなって
くるくると、回り続けるだけだった
夏の庭は一筋の光がグラスに満たされていくことから始まって
すっかりと傾くまでそのままの姿でいてくれる
ゆるしたかった、家族だった影が今でも家族のかたちで燻っていて
時々、声が聞こえる
折畳んだものは広げると案外広くて
今も停留所の隅で
誰かが、踏み付けてしまう
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