21P 「短歌2」より/むさこ
 


子等の留守 語る事なく夫と居て
硝子戸たたく雪を見てゐる

入試終え帰りきし子は降る雪の
中にレコード買ふと出で行く

ミニを着て鏡の前に立ちみれば
膝にかくせぬ年と知らさる

裸木に眞赤な凧がかかりいて
冬温き雨に濡れいる

川沿ひに夾竹桃は咲き残り
大文字山の送り火近し
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