別れの挨拶/たもつ
遥か西の国から旅を続けているマジシャンは
旅の途中で
マジックに使う鳩たちに逃げられてしまいました
それならば鳩を使わなければ良いのでしょうが
そのマジックは彼の最大の見せ場であり
鳩無くして公演は成立しないのです
公演が始まるまであと十分
マジシャンは方策を考えに考え
そしてついに
常人の想像もつかない方法で
鳩を舞台に出現させることに成功したのです
もちろんその方法については申し上げられません
何しろ彼はマジシャンですから
それはそれとして
新たなパートナーとなった鳩は全部で十羽
彼はその一羽一羽に宝石の名前をつけることにしました
ダイヤ
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