海の児のうた/モーヌ。
も 逃走 した
真夏の 陽射しが むきだしの こころに 痛すぎて
いつまでも ほてって いた
トマは 水泳に ゆくのを やめた
...トマは ひとりの 海に 帰って いった
もう もぐったって
金の さかなや 銀の 貝は 取れなかった
海の いろが 一様では なく
たくさんの まだら いろを して
一律では ない ことを
知らなかった ことを 知った
トマは イェイツの 文庫本を 読んで いた
“ ぼくは さまよう イーンガスだ ”
トマは おもった
いつか また 取ることが できる
金の さかなや 銀の 貝が
ほんとうの もの なんだ...
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