シオリちゃん/藤丘 香子
シオリちゃんは わたしを見つけるといつも
はじめまして、と言う
わたしも はじめまして、と言う
たくさんいっしょに遊んでも
次の日には わたしのことを覚えていない
でもシオリちゃんは
おかあさんだけは絶対にわすれない
シオリちゃんは ときどきどこかへ行ってしまう
みんなは探す
わたしは居場所を知っている
シオリちゃんの時計の音が微かに聞こえているけれど
約束したから誰にも言わない
修学旅行のとき別々の部屋になった
シオリちゃんの側らには
いつも先生がいらっしゃる
シオリちゃんは こっそり部屋を抜け出して
お土産を選
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