セピア/
見崎 光
飲み干したはずの水は
グラスいっぱいに湧き
混じるように
切なさが膨らんでいく
追いかけている錯覚に惑わされながら
通る道
目の前には車が、車が一台
言い聞かせる胸の内に
光る笑顔の君
薄れゆく声でさえも
鮮明さを取り戻していく
なじる反面は
現しようのない歯がゆさと愛おしさ
馬鹿馬鹿しさに駆られながら
アクセルは勢いをまし
緊張は高ぶる
脈々と水は隙間を縫って
空のグラスを埋めながら
まだまだ拭いされない想いのやり場を探している
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