砂眠/ねなぎ
柄の竹の
節くれが指にかかる気がして
海が見えない所で
海の意識を持たずに
生きる人々には
海の先にある
怖さは理解できない
する気も無い
そして
消えていく
僕らは
砂に消えていく
それは
明日では無い
この地区が消えたら
工場は閉鎖され
僕の転勤先も
数年後には
変わっているだろう
故郷への転勤は叶わないだろう
そして
正午のサイレンが止むと
犬は吼えるのを辞め
乾いた音が立っている
砂が隙間から
侵食している
ペットボトルは
砂を巻き上げ
ザラザラとした衣服は
床を薄っすらと塗している
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