スピードについて/大覚アキラ
 

ピストルが今ぼくの手の中にないことを
ぼくは心の底から感謝したいと思う

ラヴ

アンド

ピース

あした夜が明けたらすぐに出掛けよう
中国縦貫道のちょうど真ん中辺りのサービスエリアのトイレで
ぬるいホットドッグを咥えながら並んで小便をしよう
ぼくはきっと
あまりにも馬鹿らしい壁の落書きに堪えきれずに噴き出してしまって
ホットドッグを口から落とすだろう
便器の中で小動物の屍骸のように転がるホットドッグが
悲しそうに水分を帯びていくのをぼくはじっと見つめるだろう
夕暮れが終わって金色の虹が真夜中の空に浮かぶまで
そして
それはスピードについて考えることにとてもよく似ている
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