真っ赤な手、真っ白なふとん/大小島
 
毎日ふとんを干す。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日も。
風がつよくて、ふとんがおちそうになっても。
毎日ふとんを干す。

うそだと思っているのなら
私のうちのベランダをみてみるといい。
いや、ひょっとしたら、あなたのうちのベランダでもいい。
ひょっとしたら。
毎日布団を干しているんだよ。

おとなりさんから
声をかけられる。
「あら、まぁまいにちまいにちごくろうさま」
私は、あんまり御近所付き合いをしたことがないので
へへっと笑って言いよどむ。
するとおとなりさん、気がいい人なので
布団たたきなんかを貸してくれる。
私があんまり自分の手で布団をたたくから。
私の手は真っ赤。
血が流れているから。
布団にはつかないのに
手のひらは真っ赤。
真っ赤な血をいつかおとなりさんが
吸い出してくれるんだ。

私、いま、手を見てます。
ふとん、ほしたふとん、で寝ています。

私はみっつ嘘をついた。

私は一人で、部屋にいます
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