コンティニューム/美砂
なぜ?
家はいつもうしろにあって、あたたかい、
よどんだ空気 腐りかけた果物に似た、生活のにおい
なまぬるさと巨大な、盲目な愛
僕はあのひとたちが
目をそむけてしまうものに
あのひとたちの望まない
反応をしてしまう
逃げ出すのではない
心のざわめきに
この波の呼びかけに
こたえるために
たったひとり
知らないところへ
言葉の通じないところへ
仲間のいないところへ
だがほんとうに会うべき人のいるところへ
みたこともない絵のあるところへ
きいたこともない音楽のあるところへ
信じがたい暑さ、信じがたい寒さ
信じがたい驚き、信じがたい喜び
どこまでもゆける
傷ついて血をながし
ほこらしげな
この足の
なすがまま
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