小説『Is it no use crying over spilt milk?』(5)/
 
「ホンッと危ないっすよねぇ・・・。」
いつのまにか目の前にめぐちゃんがいた。
ギターなども片付けてどうやら今から帰る所のようだ。
「あれに何回、雪だるまを壊されたことか・・・・。」
あからさまに不機嫌そうだ。どうやら去年の力作雪だるま達の末路を思い出しているようだった。
トラックによって人が怪我をしたという話は聞いたことはないので、もしかしたら一番被害を受けているのはめぐちゃんなのかもしれない。

帰り道には散々トラックについての愚痴を聞かされ続けた。家に着くまでに大分ストレスが解消できたのかとても晴れやかな表情をしている。
「明日には私のデビュー曲を聞かせてあげますよ!」
別れ際に彼女は言った。おそらく大学の勉強そっちのけで創作していたのだろうが突っ込まないであげる事にした。
明日の仕事は早く終わる予定だ。初めての作品、真剣に聞いてあげよう。
彼女が僕の曲を最初に聞いてくれたときのように。
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