面白人生講話(3)/生田 稔
あまりにも懐疑的な人が今の世には多いのではないか。小さい頃、多分太平洋戦争中であつたと思うが、「人を見たらドロボーと思え」ということを誰ともなしに聞いた覚えがある。
そうかもしれないなと思ったが、だが信じたくはなかった。父や母や兄弟友人もその時は、ドロボーとは思えなかったし、幼くて自分の付き合う世界はとても狭かった。
戦争中はたびたび盗難に遭ったし。でも僕自身天皇陛下のおかげで泥棒はしなかった。
入校時には、奉安殿(天皇のご真影の安置してあるところ)の前で一礼して校舎に入り、祝祭日には講堂に集まって校長先生の読む勅語をきくという日常である、友達の家の多くは壁にご真影の額がかかっていたよう
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