ある雨の日より/もも うさぎ
 
していった


目を細めて 見やりながら

ほほう とまた ひとこと ため息をついて










「あめ」



優しい言葉を紡ぐ人に
優しいね、と言われたので
うつむいてしまった

昼間の夏空はどこかに消え去って
梅雨のような薄暗い雲が
幾重にも幾重にも 降らせている 雨の音を

さよならって
言うために生きてるんだから
言うときはどうか
慎重に
よく考えて
美しさだけで
言ったりなんかしないで

その人はそう言って



大陸の雨は
島の雨とは少し違うような気もする

大陸の風は
島の
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