逃げ水/umineko
 
じゃない。

ぎゅうぎゅう詰めになって、規則や張り紙でがんじがらめで、でもその中で、(私は何?)って見届けながら私はいく。

  *  *  *  *

私は基本的には草食動物的な臆病さで世界を食んでいる。愛を放射することはあからさまに無防備になるって知ってるから基本的に愛は苦手。痛手を負ったときに、立ち直るまでかなり時間とエネルギーを浪費することはわかってるし。だからこんなに詩を書いてるんじゃないか。

今、空がとてもきれいに晴れていて、抜けるような青が頭上に広がっていたとしても、天気予報は必ず言うだろう。(…次第に西の方から下り坂に向かうでしょう。)天気予報に頼らずとも、私たちはそれを知っている。

空が青い。でもそれはすでに下り坂だ。
私は歌う。でもそれはすでに過去。

日傘をさしながら、どこかで雨を予見している。
悲しい詩を書く。それは終焉に向かうから。
やさしい詩を書く。それはすでに絶望だから。

あなたは私をとらえられない。影ふみのように私は逃げる。

私はどこかで。
液体かもしれない。


 


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