変奏曲/塔野夏子
空は仄かに薔薇色を帯びたグレイ
雨は降りそうで降らず
六月の気怠いカーテンを揺らして
私の哀しみを主題する風が吹く
その波紋する緩急を肌に感じながら
ただ横たわっている
あじさいは咲くのか 梔子は?
降りそうで降らない雨は
やがては降るのか……
いずれにせよ 風は
夏にむけて少しずつその旋律を変えてゆく
ただ 変わることなく
私の哀しみを主題しながら
その波紋する緩急は
けれどどこか甘く肌に触れては過ぎ
揺れる六月の気怠いカーテンの向こうで
あじさいは咲くのか 梔子は……
横たわったまま吐息を洩らす
仄かに薔薇色を帯びたグレイの空から
雨が落ちるのを 待ちながら――
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