初恋/小原あき
 
空気で身体を洗って
空を仰いで
膨大な宇宙に
飛んでいく




あのころの
空は
青く澄んでいて

忘れられない横顔
長い睫毛が
煌めいていた

そのすべてが愛しくて
宝箱にそっとしまった

思い出は
悲しくても
しっかりしまわないと
零れてしまう

白い砂みたいな記憶
さらさら、と




思い出になることも知らずに
ひたすら生きていた
想像と希望の日々を
日毎、成長を繰り返して

一瞬の嵐のように
感じた日々も
実はそよ風のように
ゆっくりと優しく
きらきら、と


輝いていた


それは生きている

[次のページ]
戻る   Point(18)