汚れた革命/渡 ひろこ
あれは数年前 今でも脳裏によぎる
テロリストの哀れな末路か
成田空港に降り立ち
手錠を高々と挙げ
カメラに向かって
不敵な笑みを浮かべる
かつての“女戦士”
バブルも 不況も ITも
飛び越えて
こつ然と現れた
時代錯誤の遺失物
故郷は捨てた筈じゃなかったのか
レバノンに骨を埋める筈じゃなかったのか
ここでは革命は起こせない
過去の栄華にすがっているのか
血塗られた武勇伝を気どっているのか
潔さはメディアでは表わせない
同志の前で示すのだ
骨を砕き肉を裂き
己の血で
revolutionと描けるか
その歪んだ錆び色の思想で
どれだけの人を殺めてきたのだろうか・・・
醜悪な身を晒したテロリストに
“革命”は似合わない
戻る 編 削 Point(6)