手が届くことを疑わない無垢 /いねむり猫
 

天空から降りた一筋の糸
あるいは 
雑踏の中に聞き取る 一瞬のメロディー

能力さえあれば それをたどって
空を駆け上り 己の核心へ 
あるいは 命を揺さぶるメッセージへと
飛翔することができるはずなのに

たよりなくゆれる 
差し伸ばされた幼子の手

太くやわらかく 乳の臭いのするその手が
つかもうとするすべて
幼子の前の世界のすべて

つかもうとするものがあるという確信
母から開かれる世界のすべて

たどりついたとして
それが目指したものだと判るのだろうか

それでも手を差しのばす
その集中と確信

手が届くことを疑わない無垢



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