「 教室。 」/PULL.
 
さい!。
 あたし誰かと話すの、
 にが…て…。」

男はお腹を抱えて笑っていた。
痩せた躯に似合わない大きな笑い声が、
教室中に、
響く。

「そんなに笑わなくったって、
 いいじゃないですか。」
「ごめんごめん。
 きみがあんまり面白いから、
 ついね。」

そう言いながらも、
男はまだ笑っていた。
悪い感じの笑いではない。
からからとした心地のいい、
笑いだ。
聞いていると、
何だかこっちも、
つられておかしくなってきた。
そうしてしばらく、
知らない男とふたりで、
お腹を抱えて笑い合った。

「あたし、
 こんなに笑ったの久しぶりです
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