水辺のほとりで/いすず
ちいさな木の葉が浮かんでる
水の流れは冷たくて 透き通るように澄んでる
白い手が泳ぐように招いた
わらうように白いきれいな歯並びがのぞいた
その一瞬で まるで おとぎばなしのように恋した
水辺にたわむれる 子ガモたち
灰色のあたたかな毛並みが 水をはじきながら 光ってる
子ガモのすがたを手の指で切り取って わらう笑顔
きらめくよにまぶしい そのほほえみが ひろがってゆく
この一瞬で なにもかもが 失ってもいいとさえ思えた
みなもに浮かんだちいさな木の葉
コガモがそのあいだをくぐりぬけてゆく
いとおしいとおもうものは いつもこの手の先からこぼれおちてゆくけれど
またこの公園で 出会うだろうか 春先の奇跡
ただ すぐそばでひととき 羽を休めた この水辺のほとりで
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