砂のこえがきこえるように……/輪橋 秀綺
 
たすのだ 

孤島という身の哀しさで奏でられるそれは既にエレジア ―― 歌だった
もしかしたらすごく音痴だったかもしれないけれど
僕は嫌いじゃない 決して 嫌いじゃない


ひとりぼっちのヒト同士なら もしかしたら親友になれるかもしれない
なんてことを漠然と考えながら
明日の学校の宿題にちょっとずつ苛まれながら

僕はうつ伏せになって 結局 砂と接吻した
裸をあたためようとして 口づけたそれは 
しょっぱくて なにより 苦いのだ

ヒトのだったら 甘かっただろうか
―そんな思いに 傾きながら
体 意識
やわらかく溶けていく

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