解放/深月アヤ
 
誰を呼ぶ

ベルベットの夜に
闇に浮かぶ
蒼い影

疲れ果てた身体に
染み入る
日毎大きくなる
その清浄な 音色

窓枠に立ち
両腕を平行に
潮の香りと風を抱く

私の腕は
広げられたカーテンの波間に
出来るだけ多くの
欲を掻き集めて

いつしか頭の
全てを木霊する
言葉
歌に

解放される時を待つ

誰を呼ぶ
蒼い影


かつてそこにあった筈の
白い羽根を想い
窓枠を蹴る

砕ける波
煙る月
蒼い島影


全てを一瞬に解放して
誘いに寄り添う

辿り着く場所など知らず
微笑する 囚人

朝には忽然と消える
命を
島を

解放する

解放する









「テーマ先行型投稿企画 Apoptosiem投稿作品」テーマ『孤島の歌声』




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