搾取/朝原 凪人
 
銀色に輝く
紋白蝶の魔法の粉
きらきら

どれほど集めれば
自由に羽搏けるといふのでせうか
あをいそら

一枚二枚
母の髪を梳くやうに
幼い私
蝶の翅をもぎ取るのです
やさしく

ですが私の軆(からだ)
地表を漂ふだけ
ふらふら

そこには
かつて蝶の一部だつた
ひらひら
かつて蝶だつた残骸
ばらばら

私はそれを
眺めておりました
からからと


戻る   Point(8)