小説 『Is it no use crying over spilt milk?』(3)/
 
一段と強い風で我にかえった。見ると既にめぐちゃんは片付けを始め帰る準備をしていた。
「あ、そうだ!!今作曲にチャレンジしてるんすよ〜。」
これには少し驚いた。同じサークル活動をしていた頃何度か彼女に作曲を薦めていたが、生来根気のない性格なのか面倒くさくなって結局一曲も作ることはなかったのだ。
「これがまた難しいんすよね〜。」
白いため息を吐きながら、やけに大袈裟なしかめっ面で彼女はぼやいた。
「でももう少しなんで完成したら聞いてやってください!」

それからしばらく他愛ない話を続けた。作曲の苦労を語る彼女は本当に嬉しそうで。
彼女は僕とは違う。大好きな音楽を決して、逃
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