パッセンジャーズ/Rin K
 



  一 「ミッシング・ピース」

手渡されたたった一枚の
欠けた切符のように
行き先でもなく
日付でもなく
空白のはずなのに
それ以上に大切なものを
どこかに忘れたまま

明日になれば二度と
みつけ出せなくなる
切り取られた欠片を探したら
電車には乗れない


  二 「ループ」

海岸線に
始まりも終わりもない
いつかあなたが教えてくれた
昼間の熱がきっと
まだ抜け切らぬこの線路も
同じなのだ、と
つぶやいてみる

駅はただそれぞれの道の
結び目でしかない
降りるも過ぎるも
そのときしだい
それでもひとは
切符を手にして
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