六月の桜/あみ
そばだてた時間の片隅が
たゆたう雲の尾ひれのように
いつかちぎれて消えてくことを
待っているかのようだ
静かに
寄せ集めて形を整える癖は
大人になったはずの今でも
あっさりと明日を覆してしまい
眩暈のように、他人事だ
不明瞭で
煙に溶け始める女の声が気になり
そっとドアを開ける
緋色の遺書に綴られた、明らかなる嘘
それは
まやかしとは違い
溶け込める隙間を持たない
静けさ
容易に私の軌跡を知る者
あなたは
白と黒に鮮やかな彩があることを
知っているのだろうか
どこまでも広がり続ける言葉は
ただひとつのものに集約されるのだと
おかえり と
しとしとと降り続く雨音よりも不明瞭に
優しく溶け込むことを
あなたは、知っているのだろうか
散りゆく時間は微かで
それでも
くっきりと苛まれた彩を残し
明白な隔たりを与え続けることを
あなたは
いつか
知るのだろうか
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