余剰の海/水町綜助
 
た羽はやっぱり孔雀のものだった
蛇の目がいくつかにらんでは
青い水滴を滴らせて萎れていった

新鮮な羽を
何本もひろげていくほどに余剰は滲み
あふれ
ソファはすっかり浸かってしまう
いつしか室内は青く満たされて
中庭が見える窓しかもう出口はなくて
おぼれながら四角い窓を見れば
そこから見える空の色は
蝉の複眼から見る夏だろう
そんな色だろう
いくつもの
分裂した
ガラスが砕けるような
絶叫の中で
回転する
空だろう


そうしてできた余剰の海に
たぶん帆船模型が浮かんでいるから
乗り込んでみるよ

帆が擦り切れるまで走って

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