サイコロを振る悪魔の掌/紫音
たちまち視界を取り戻す
置いてしまえばどうということはない言葉を
捨て置いたために気付いてしまう
何を謳うべきかわからずに
それでも綴られた言葉の中に
果たして泣き笑い
伝う詩は自生しているのか
固く信じた気持ちの先が
コーヒーの香りほどに不確かだとして
そこに電気羊の夢は生まれるのか
独り身であることも
横に寝息を感じることも
月並みの笑顔も
当たり前の涙も
湧き出る嗚咽の奥底に
コーヒーほどの香りさえ無く
キリマンジャロとブルーマウンテンの区別も付かないくせに
エ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)