サイコロを振る悪魔の掌/紫音
いま ここ いる
細部はどこまでも精緻
瞬間 空間 存在
断片は晴れ上がるほど精巧
全体
それは掴みどころなく
霞を食べているよう
仙人ではないけれど
認識が現実を規定するなら
君は囚われの僕に手を差し伸べるかい
総体
それは捉えどころなく
ジェルを混ぜているよう
エロスはないけれど
この手に触れることはできる
この足も触れることはできる
鏡像さえも曇らずに現れる
魂の形は無い
交わる飛行機雲
絡みつく蔦
電燈は不意にまばたき
たちまち世界を見失い
た
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