高架上食堂の朝/hon
足がガクガクふるえて声も出せずうめいてた
とにかく注文を受けたので
調理しようと厨房に入るのだけど
たとえば手がふるえて砂糖を入れすぎてしまう
すると塩を加えて味を修正しようとする
やがて酢やしょうゆやみそやコンソメに手をだす
辛すぎないか甘すぎないやしないか
失敗を取り繕おうとするほど
ある食材を手当たりしだいぶちこんでしまって
ついに店にあった食材の全部を鍋に投入した
できたのはなんだかわからない灰色のカユだった
いってみればホワイトノイズみたいなもんだ(ちがうか)
ほかに出せるもんもないからそれを持って客の前にだした
客は読んでいた新聞から顔を上げて目を細めた
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