街の灯りへの供物/いねむり猫
 

明滅する明かりたち
見下ろす微笑みのこわばり

この夜空へ飛翔しよう

嫌悪しつづけた
この街の甘く いかがわしく
何度も循環された 臭い

思い詰めた翼は 
この街の微熱が起こす 上昇気流を
つかみ、羽ばたくことができるはず

明滅する明かりたち
その一つ一つに
数え切れぬ 己が殺した心たち

街の灯を憎み
密かに恥じながら愛し
できるなら心を殺して
灯りの一つに
まぎれてしまおう と

旅立とうとしている
 自分を滅ぼそうとしている
  心に止め刺そうとしている
   
その肉体だけを
街の灯にささげようとしている


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