あるいは骸骨の海/たね。
 


天盤はなだれ
黒雲はしける
なみなす水兵の錯乱
吹き揚がる蔵物と
ペットボトルの散乱

赤錆びた船の重低音
通り過ぎるたび軋む
わたしの
コールタールの夕暮れ

水際で黙る二の足
うら濁る筆で描く入江の
さびしく渡る かもめの絵画

奈落の色を咬みしめる人々
皆、哀しみを棄てて赤潮

眉間の皺が漂う波間
遮る雲は、さんざめく

微かに揺すりみつ
楽の音
それは、蒼い追憶の
あばらを浮かばせ
遠望に果てる琥珀の骨は
深い海層に湧き上がる
ため息のさざなみに
黒い雲天を打ちつけた――

雨だ

雨、
雨よ
熱き夕立のフォルテ
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