指と指/木立 悟
ちぎられたもの
砕かれたもの
ひとつひとつに触れる指が
それらの色に染まりゆくさま
色のないもうひとつの指に触れ
血のにじむまま触れ
あたためるさま
染まりゆくさま
細くたおやかな指先に
荒々しい息は重なってゆく
指まもる指
やがて結ぶ指
布を曇を水を地を
からめた指はすり抜けてゆく
のびきり ふるえ
ひとつの花に咲きひらく
土と血のまだら
汗と涙のにおい
ゆるやかに しなやかに
染まりゆくさま
離れたものに同時に触れ
したたるものを見つめまたたく
数え切れない笑みと熱の羽
指と指からはばたいてゆく
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