瞳の中の空/小原あき
 
青空が映った瞳は
力強い光の匂いがする
その目が捕らえるものは
枯れた幹でさえも
息吹きが聞こえてきそうで

夕焼けが映った瞳は
哀愁が漂い
声をかけることすらも
ためらいがちにさせてしまう
ゆっくりと燃える橙に
意志の強さを滲ませて

曇りの空が映った瞳は
少しだけ寂しげで
分厚い雲が
閉じこもった不安を
より一層増やしてしまう
瞳の中の涙雲が
いつかの嵐の予感を
蘇らせて

どしゃ降りの空が映った瞳は
雨粒が何もかもを
洗い流していくように
涙が溢れて
心の土砂を
洗い流していく

(泣いてしまえ)

虹が映った瞳は
澄み切った空に似ていて
本当の鮮やかな世界を
映してくれる

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