亡霊への哀悼/鈴木カルラ
愛の向こう側へ逝ってしまった、アナタ
夢見ることも未来を語ることも無く
過去の想いが昇華した姿でワタシを抱きしめようとする、アナタ
喪ってしまったものの大きさにも気づかずに
欲望のままにワタシを抱きしめようとする、アナタ
ワタシがアナタの願いを叶えてあげます
そして、アナタの望む楽園へいってあげましょう
でも、それはアナタがワタシを喪うということ
そのことに気づかない、かわいそうなアナタ
アナタが欲しいのは今ここにいるワタシ
なのに……
なのに、アナタはそんなことにも気づかない
……
さぁ、一緒に逝きましょう、アナタの望んだ楽園へ
そして、そこで、アナタはアナタの腕の中から消えていくワタシを見るのです
アナタにはその意味が解からないはず、ワタシが消えた意味が
きっと、きっと、アナタはワタシを探し求めて彷徨(さまよう)ことでしょう、今ここにいるワタシを求めて
アナタはワタシを求めて彷徨のです
永遠に、永遠に……
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