希な望み/松本 卓也
 
われている錯覚に溺れながら
偽りの希望さえ詠えない

何の意味がある?

問いかけは宵闇に沈み
空気を引き裂く音に紛れ
いつに無く意味の無い形を作っていた

いつ頃から見失い
いつ取り戻せるのか
少なくとも認めざるを得ないのは
生きる事そのものに刻まれた
刹那の贖罪を果たしていくだけ

何も求めないまま
何を待ち続けるのか

冷え込んでいる心が書き記す
売れる見込みの無い言葉

小僧どもには分りもしない
転がる現実に掘り起こされた
虚像が示す道標には

差し込む陽射しを待ち望み
揺れ動く事のない風車が
意図しない詩を詠えるよう

それだけなのに


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