希な望み/松本 卓也
 
恋なんてする時にするもんさ
そう悠長に構えているうちに
あと二年で三十路なわけで

休日の大半は睡眠で
晩飯には賞味期限切れの焼きソバ
赤ウィンナーに安物の豚バラ
三分の一以下に薄めた焼酎

最近増えた迷惑メールには
いつも同じ文面が記されていて
面白みの欠片も無い
もう少しそそらせてくれれば
多少は誘惑に乗れそうなものを

等身大の自分に
可愛げなど有りもしない
嘯いているのは己の心だけ
不自然な交通量を誇る国道沿い
行き交う車のエンジン音に
人知れず孤独を癒しながら

嗤う対象は何なのか
今日も月光は見えていない

積み重ねた言い訳で
救われ
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