旅の夜明け 〜能登号にて〜 /服部 剛
長い長い
夜が明けてゆくよ
夜行列車で目覚める
旅先の朝だよ
寝ぼけ眼を手でこすり
車窓の外へ目をやれば
松林の向こうに
只静かな海は広がり
振り返れば
雲間に覗く朝陽を映す
鏡のような田の向こうに
立山の白い峰々は
雲上に頭を入れて
さぁ何をしようか、旅先で
とろける刺身を食べようか
金沢小町をひっかけようか
海沿いを走る線路の向こうに
姉ちゃん夫婦と5歳の姪や
素敵な友と彼女まで
この俺を待っててくれる
まったく皆
仲睦まじく
うらやましい限りであるが
ふーてん者のこの俺の
いつも
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