コーポR・402をひっそりと辞し/Six
人が階段を上る足音
喫茶店に入ってきたときの恋人の顔
自分を見つけたときの恋人の顔
決して色褪せないフィルムの中に
永遠に封じ込められることになってしまった
あなたへ
(永遠というのがありえないとすれば
あなたはどこに行ってしまったのだろう)
「ジャンゴの指使いには遠く及ばないけれど
でもいいセンで弾くことはできますよ」
今となっては、
それは謙遜だったのか
はたまた自慢だったのか
もう分からないではないですか!
からっぽになったコーポR・402で
ギターの音もあなたの微笑みも
何も聴こえないのに
一体何がこだましているのか
誰かわたしに教えてください
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